ハイブリッドエンジン開発を行うベンチャーの株式会社 MJOLNIR SPACEWORKS(本社:北海道札幌市、代表取締役:Viscor Tor、カナ表記:ミヨルニア・スペースワークス、以下「MSW」という。)は、リアルテックファンドおよびインキュベイトファンドを共同リード投資家としてシードラウンドにて1.4億円の資金調達を実施いたしました。MSWは、今回の資金調達をもとに、ハイブリッドロケットエンジンシステムの開発と地上燃焼試験等を進め、安価で安全なエンジンの大量生産を目指します。
急拡大する小型衛星市場と不足するロケット
近年、小型人工衛星による通信や地上観測等の市場が急拡大しており、それに伴い、ロケットによる人工衛星の打ち上げ需要が高まっています。一方、人工衛星の打ち上げ需要に対してロケットの打ち上げ数が大幅に不足しており、また打ち上げコストは依然として高額です。
この宇宙産業における課題を解決するためには、ロケットの製造数を飛躍的に増やしつつ、低コスト化を進める必要がありますが、ロケットエンジンの量産や低コスト化は難易度が高くボトルネックになっており、現時点では課題解決の見通しが立っていません。
安価で安全なロケットエンジンシステムの大量供給によるボトルネック解消
現状ロケットエンジンの主流となっている液体ロケットエンジンは構造が複雑であり量産に向けたハードルが高いものです。一方、MSWが独自開発しているハイブリッドロケットエンジンは、構造が簡易であり、また燃料として爆発物を使わないため、量産と低コスト化に適したエンジンです。
これまでハイブリッドロケットエンジンは大きな推力を出せないという課題があり実用化されていませんでしたが、既にMSWはハイブリッドエンジンとしては国内最大級となる40kN級エンジンの初期的な地上燃焼試験を成功させています。さらに、ロケットのコスト構造上、高い割合を占める推進剤タンクの低コスト化も実現し、タンク単体の販売も開始しています。
MSWは、今後これら独自技術を用いて安価で安全なロケットエンジンシステムを大量生産し、世界中のロケット開発会社に大量供給することで、それら企業のロケット開発を加速させ、世界の宇宙開発・宇宙利用の発展に貢献することを目指します。
調達資金でエンジン開発と地上燃焼試験等を実施
今回の資金調達や競争的資金の確保によって、開発体制を強化しつつ、年内にはハイブリッドロケットエンジンの製品化に向けた開発を実施する計画です。さらに、2024年にはフライト試験も実施する計画となっています。
■ 引受先からのコメント
リアルテックファンド グロースマネージャー 小正 瑞季 氏
MSWの皆様には2022年6月に出会い、技術力の高さと大胆な構想に驚かされました。その後、各種準備を重ね、今回ようやく出資させて頂くことになり、大変嬉しく思っています。革新的なハイブリッドロケットエンジンの大量生産による宇宙産業のボトルネック解消と宇宙利用の加速による社会課題解決に貢献できると信じ、リアルテックファンドはMSWを全力で支援して参ります。
インキュベイトファンド 代表パートナー 赤浦 徹 氏
MSWが開発を進めているロケットのハイブリッドエンジンは量産による圧倒的コストダウンを実現可能とします。イノーベイティブなチャレンジを高い技術力に裏付けられたチームで行って参ります。我々としても貢献できるよう全力で取り組んで参る所存です。
■ 会社概要
会社名:株式会社MJOLNIR SPACEWORKS(ミヨルニア・スペースワークス、略称:MSW)
代表者:代表取締役 Viscor Tor(ビスコア・トール)
設立:2020年1月21日
所在地:北海道札幌市北21条西12丁目2 北海道大学連携型起業家育成施設207
資本金:142,375千円(資本準備金含む)
事業内容:航空機、宇宙機器、飛翔体及び関連機器の設計、製造、売買に関する事業